放射線部

概要

丹波医療センター放射線部では、開院にあたり、医療機器の充実を図り、3.0T MRI装置、256列CT装置、バイプレーン⾎管造影撮影装置を増設し、また、放射線治療装置であるリニアック、核医学装置、X線TV、マンモ装置およびDRシステムを更新しました。あわせて、患者さんの放射線被ばく低減・最適化を⾏う線量管理システムを導⼊し運⽤していきます。
スタッフは柏原⾚⼗字からの3名を含め6名増員され19名体制となりましたが、常⽇頃より、質の⾼い医療の提供を⽬指して、検査技術の向上・専⾨性ある⼈材育成にも⼒を⼊れ、地域の皆様に貢献できるよう、⼀同努⼒し取り組んでいきます。

以下、各検査・治療の特徴について説明します。

⼀般撮影部⾨

⼀般撮影部⾨は、胸部や腹部、また頭部から四肢などのX線撮影を⾏います。
当センターでは、FPD装置(フラットパネルディテクタ)の採⽤により、全⾯デジタル化が実現されております。
デジタル画像処理技術により、⾼解像度、⾼鮮鋭化の診断画像が提供でき、低被ばくでの撮影が可能となりました。

CT部⾨

当センターでは⾼機能CT装置(256列CT、128列CT)計2台が備わっており、広範囲を⾼速に撮影できます。それにより、検査時間が短縮され、患者さんの負担もより少なくなりました。また、Revolution CT(GE社製)は従来装置に⽐べ、造影剤使⽤量の低減、物質の組成を判断する質的診断のサポートも可能となっています。

  • GE社 Revolution CT(256列)GE社
    Revolution CT(256列)
  • SIEMENS社 SOMATOM Definition AS+(128列)SIEMENS社
    SOMATOM Definition AS+(128列)

上記のCT装置より得られた⾝体の断⾯画像を⽤いて3次元、4次元画像を作成することができます。例えば以下の画像のように⼼臓や脳、全⾝の⾎管を⽴体的に観察することで、⾎管⾛⾏の把握、⽯灰化や狭窄部位の発⾒に役⽴てることができます。

MRI部⾨

MRIとは、磁気共鳴画像診断装置(Magnetic Resonance Imaging)の略で、人体の中にたくさん存在している水の状態を、非常に強い磁石の力を用いて信号とし、コンピュータで処理して画像にする検査です。また、放射線を使用せずに検査を行うため被ばくがなく、造影剤を使用せずに血管を描出することが可能です。検査時間は約20 ~ 30分、造影剤を使用する検査では1時間程度かかることがあります。当センターでは3.0T装置と1.5T装置が導入されており、高分解能3D画像や非造影血管撮影などが可能です。このたび、2024年に1.5T装置のバージョンアップを行い、今までより短時間かつ高精度に検査を行えるようになりました。

  • 1.5テスラMRI装置1.5テスラMRI装置
  • 3.0テスラMRI装置3.0テスラMRI装置
  • MRCP画像MRCP画像
  • 造影乳腺MRI画像造影乳腺MRI画像
  • 頭部MRA画像頭部MRA画像

次のような⽅はMRI検査を受けられないことがあります。

※必ずスタッフに申し出てください

  • 心臓ペースメーカーが留置されている方、人工内耳、人工中耳の方
  • 血管へのステント置換術を8週間以内に受けられた方
  • 古い人工心臓弁の手術を受けられている方
  • 眼に微細な金属片が入っている(または入っていると疑わしい方)
  • チタン製以外の脳動脈瘤クリップが入っている方
  • 金属の義眼底の方
  • 骨折によりボルト固定がされたままの方
  • 躯幹全体に入墨のある方
  • 妊娠3ヶ月以内(または妊娠が疑わしい方)

アンギオ検査部⾨

アンギオ検査とは⾜の付け根・⼿⾸・肘などからカテーテルと呼ばれる細い管を⾎管内に挿⼊し、造影剤を注⼊しながら⾎管のX線撮影を⾏う検査です。これにより⾎管の閉塞・狭窄やがんなどの臓器疾患の診断が可能となります。
近年、アンギオ検査は⾎管造影撮影による画像診断だけでなく、引き続き治療を⾏うIVR(InterVentional Radiology)が盛んに⾏われています。
治療部位に応じて⼿技はさまざまであり、⼼臓や四肢の狭くなったり詰まったりした⾎管にはバルーンと呼ばれる⾵船のついた管やステントと呼ばれる⾦属製の筒を挿⼊、または⾎管を拡張させるような薬を流すことで正常な状態に戻したり、症状を抑えるような治療を⾏います。がん疾患については、腫瘍を栄養している⾎管までカテーテルを進め、抗がん剤や塞栓物質を⽤い腫瘍を弱らせ、縮⼩させる動脈化学塞栓術を⾏います。その他、動脈瘤や外傷等による出⾎部位の⽌⾎については、コイルと呼ばれる塞栓物質により⾎管を詰まらせる⾎管塞栓術を⾏います。
当センターでは、⾎管内治療だけでなくX線透視下で⾏う検査及び治療についてはアンギオ装置を有効に活⽤できる体制を整備しております。

腹部⾎管

  • 頭部⾎管
  • ⼼臓冠動脈

写真 キヤノンメディカルシステムズ株式会社提供

核医学検査部⾨

核医学検査とは、放射性同位元素(Radio Isotope)を⽤いて⾏う検査です。体内にRIを含む薬剤を投与(経⼝もしくは静脈注射)する事で、全⾝へと運ばれ、特定の臓器や組織に取り込まれて集積します。
これを特殊な撮像装置(ガンマカメラ)を利⽤して、放出される放射線(主にガンマ線)を検出することで臓器や組織の形状・機能を調べます。
注射後、⽬的の臓器や組織に薬剤が集積するまで約3時間を要する検査や数⽇かかる検査もあります。検査は装置のベッド上で安静状態の寝た体勢で⾏います。撮影時間は30分〜1時間程度です。
検査に⽤いる放射性医薬剤は⼈⼯的に作られたもので、副作⽤はほとんどありません。体内に⼊った薬剤からは放射線が出ますが極微量で、検査を受ける本⼈や周囲の⼈々への影響について⼼配はありません。検査も苦痛なく⾏えるのが特徴です。
核医学検査に⽤いる薬剤のほとんどは尿・便排泄されます。また、放射線の量は時間とともに減少していくので、後々まで体内に残って放射線が出ることはありません。

ガンマカメラ(GEヘルスケア NM830)

当センターでは、主に⾻シンチグラフィ、⼼筋(負荷・安静)シンチグラフィ、脳⾎流シンチグラフィの検査を⾏っています。そのほかにも、甲状腺シンチグラフィや腎動態シンチグラフィなど多種多様な検査の受け⼊れ態勢も整っています。

  • ⾻シンチグラフィ⾻シンチグラフィ
  • ⼼筋シンチグラフィ⼼筋シンチグラフィ

マンモグラフィー部⾨

当センターではマンモグラフィ検査の診断⽤装置として新しくFUJIFILMの「AMULET Innovality」を導⼊しました。この装置ではこれまでより低線量で⾼画質な画像の提供が可能となり、検査に来られる患者さんの負担をできるかぎり軽減することを考え、充実した検査の向上に努めてまいります。
ここではこの装置の説明として、以下の特徴を紹介します。

新たな機能「トモシンセシス」

マンモグラフィ検査では、通常誰にでも⾒られる乳腺は診断⽤画像で⽩く写ってしまい、特に⾼濃度乳腺のような⽅の場合であると、この乳腺の中に疾患が隠れてしまうことがあります。検査時には乳腺に隠れるくらいに⼩さく早期の腫瘍であっても、約100⽇〜半年ほどで倍の⼤きさになると⾔われており、早期発⾒へと繋げるためにはいかにこの⼩さな腫瘍を発⾒できるかにかかっています。そこでこの度新たに加わる機能としてトモシンセシスを⾏えるようになりました。X線管球が胸の上を連続的に移動し、複数の画像を重ね合わせることで、⽴体的な画像を構成し、乳腺との重なり部分等をより詳しく観察できるようになったため、従来の⼆次元の画像では発⾒の難しかった疾患も容易に観察できるようになりました。

⾼画質な画像の提供

画像の観察を⾏ううえで、乳房の中にある⼩さな⽯灰化や腫瘍等をきれいに細かく写すことは⾮常に重要となります。そこで、今回の装置では画像認識技術によって患者さんごとに体内の⽴体構造を捉え、ざらつきの無い画像を提供できるようになりました。

画像認識技術による画像の提供

低線量での撮影

従来の装置に⽐べて約30%の線量低減が可能となりました。

痛みの軽減

圧迫⾃動減圧制御(なごむね):患者さんの痛みを軽減するため、通常の乳房圧迫完了後に、乳房の厚みが変化しない範囲(±3mm)で圧迫圧を減圧する機能を有します。

以上のことより、検診から精密検査まで、安⼼して患者さんに検査を受けていただけるよう、精度の⾼い画像の提供をしてまいります。

放射線治療部⾨

放射線治療とはX線や電⼦線などの放射線を病巣部に照射し、病気の治療を⾏います。また、⼿術後の再発防⽌や病気の諸症状の緩和などにも広く利⽤されます。

  • 1.5テスラMRI装置VARIAN社製 Clinac iX
  • 3.0テスラMRI装置OBIによるX線撮影

IGRT(画像誘導放射線治療)

治療装置に搭載されているOBI(ON BOAR IMAGE)でkV−X線画像を撮影し、その画像と治療計画CT画像から再構成された画像と位置合わせをします。また、CBCT(コーンビームCT)撮影を⾏い、照射位置微調整し位置精度を向上させます。これにより、正常な組織に放射線が当たることを最⼩限にします。

  • kV-X線画像と計画CT再構成画像との位置合わせCBCTkV-X線画像と計画CT再構成画像との位置合わせCBCT
  • CBCT画像と計画CT画像との位置合わせCBCT画像と計画CT画像との位置合わせ

⾻塩定量検査部⾨

骨塩定量検査とは、骨組織の骨量が加齢と供に減少し、腰や背中の痛み・骨折などを起こしやすくなる骨粗しょう症の診断を主に行う検査です。X線を照射し直接骨量を測定するDEXA(デキサ)法で腰椎・大腿骨などを撮影して骨量を測定します。今年度(令和5年)、新たに東洋メディックの「Horizon」という装置を導入しました。これにより、今までよりも高精度な骨塩定量検査が可能となっています。

  • ⾻塩定量装置骨塩定量装置(東洋メディック Horizon)
  • 測定部位(右図:腰椎、左図:左大腿骨)

⾼額医療機器の共同利⽤

CT・MRI・RI検査などの検査をご利⽤いただけます。

予約は電話・FAXにて受け付けております。詳細は当センター地域医療連携室までお問い合わせください。

患者さんへ

共同利⽤による検査にはかかりつけ病院や診療所の先⽣からの紹介が必要となります。ご希望の⽅はかかりつけの先⽣にご相談ください。